VOLAERA通信

Amigos de Graná グラナダのアーチスト紹介

[第4回] Juan Andrés Maya フォアン・アンドレス・マジャ

クーロ・アルバイシン

 今からもう20年以上も前に、澄んだ青い目の愛くるしい17歳の青年を私の公演「洞窟の少女」で招聘した。その頃にしてはモダンなソレアを、超リンピオ(きれい)なサパテアードと上体の抜群なコンパス感で見事に踊ってくれた。フォアン・アンドレス・マジャである。楽屋では唄いっぱなし・・・郷愁?と聞いたら、要するに「唄うのが好き」なんだという。フラメンコは勿論、コプラも。夜中の洞窟で唄い狂っているフォアンを見かけたこともある。

 彼の家は洞窟フラメンコショーで有名なクエバ・ロシオ。サクロモンテのダンサ(踊りを見せるクエバ)の老舗だ。お父さんはギタリスト、お母さんは踊り手だった。連日観光客が押し寄せ、1年中パルマとサパテアード、ギター、ハレオの賑やかな音が絶えない中で、3歳の時から踊っているフォアン。古の伝統的なアイレを受け継いでいる。強くて迅速なサパテアードも凄いが、特にブラッソは天下一品だ。女以上に女らしい、歌舞伎役者のような雰囲気を見せる。サクロモンテの代表的なジプシー・ファミリーの血筋をひく。マリオ・マジャやマノレテ、フォアン・マジャ・マローテなどの彼のファミリー系図の中にいる。

いままで沢山の作品を作ってきたが、そこには彼が惹かれる過去の人物がテーマになっている。キリストやロルカなど劇的な生涯を送った歴史上の人物や闘牛士など。彼らの受難を舞台で追体験するような感じにみえる。傍から観ても痛々しいまで、練習に打ち込む。自分のことをよくわかり、自分の身体をコントロールできるという。だから、作品作りで悩んでも寝なくちゃならない時は寝られるらしい。ダイエットにも余念がない。古いプーロなアーチストが好き。カルメン・アマージャは勿論、女性ではマヌエラ・カラスコ、男ではマリオ・マジャ、ファルーコなど。

彼は16年もマドリッドに行っていた。自立したかったからという。マドリッドで多くのアーチストの中で活動して来たが、このところのテクニックの発展の中で「自分はこう踊りたい」という、彼の大切にしたいものを見付けたのではないかと私は思う。昔はかなりモダンな試みを好んでやっていたが、今はその生まれ持った素質を活かした踊りに徹底している。そこにはサクロモンテの洞窟で生まれ育ち、そのフラメンコな環境の中で自然に身に着いたアイレが充満している。

今、フォアン・アンドレスは生地のグラナダで実にのびのびとしている。いいマネージャーが付き、外国の仕事も多い。そしてフラメンコのプロジューサーとしても意欲を燃やしている。これからどんな活動をしていくのか楽しみだ。[2012年10月記]

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